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【開発事例】テーブル定義書がない!そんなとき、AIが“翻訳者”になった。

  • 祐斗 河合
  • 3 日前
  • 読了時間: 3分

「テーブル定義書がない」から始まった


ある日、古い販売管理システムを kintone にリプレイス案件をすることになりました。

ところが開発元はすでに存在せず、残っていたのはデータベースのテーブルだけ。


KOKNM, DENNO, URIKIN, ZEIKN01 …。

見るからに何かの略語ではありますが、設計書もコメントもないため、何を意味するのか確信が持てない


唯一の手がかりは「命名のクセ」だけでした。


なんとなく分かる。でも“全部調べる”のは非効率…

たとえば: 

  • KOKNM → 顧客名(KOK=顧客?)

  • ZEIKIN → 税金?

  • DENNO → 伝票No.

  • CRTDT → 作成日(Create Date?)


こうやって一つずつ推測していけば意味は分かる。でもテーブルが十数個、項目が数百もあるとなると、画面と見比べながら一人で手作業で調べるのは現実的じゃない


しかも略語は統一されているようで、微妙に揺れています。

  • ZEIKIN と ZEIKN の両方がある

  • UPDDT と UPDTDT が混在

  • KOKNM が2回出てくる(カナ名と漢字名?)


人が目で見て判断するには、曖昧さが多すぎる


そこで、AI に「命名規則を見つけて」と聞いてみた


そこで使ったのが ChatGPT です。

全テーブルの定義(列名・型・備考)をコピペして、こうお願いしました。

「命名規則を見つけてください。たとえばNoならNO、名前ならNM、コードならCDのように。」

すると数秒後、お返事がありました。

かなり“和製COBOL風”な省略規則が見えます。ざっと全体を通しての命名規則をまとめました。

結果は驚くほど整理されていました。

ree

さらに ChatGPT は、「CRTDT/CRTTM/CRTWS」「UPDDT/UPDTM/UPDWS」が監査項目であること、「M~」で始まるフィールドが“マスタ系”を示していることまで読み取ってくれました。

命名規則が分かると、構造が見えてくる

命名パターンが分かると、型や用途まで自動的に推定できるようになります。

  • …CD, NM → char / varchar

  • …KIN → numeric(9,0)(金額)

  • …FL → numeric(1,0)(0/1フラグ)


ここまで整理できれば、Excelのテーブル定義書を復元するのも簡単。ChatGPTに「この規則で定義書を再構成して」と伝えるだけで、実際にカラム名・型・意味の一覧を整形して出してくれます。


人が読むための「AI設計書」ができた

ChatGPTにとっては、未知の略語でも大量の類似例を学習しているため、「これは多分こういう意味だろう」と統計的に通訳してくれます

もともと「機械のためのデータ構造」だったテーブルを、AIが“人が読める形”に翻訳してくれたのです。


そこから先は、kintone に載せ替えるために

  • コード→ルックアップ

  • 金額→数値

  • フラグ→チェックボックス

  • 日付→日付フィールド

…といった置き換えを行えば、古いDBが現代的なローコードアプリに生まれ変わる


AIは、過去のシステムの“通訳者”になる

  • 設計書がなくても、命名規則は「設計者の意図の痕跡」

  • ChatGPTはその痕跡を拾い上げて、人間の言葉に戻すことができる

  • kintoneのようなローコード環境と組み合わせれば、レガシーシステムを「読める・使える」形に再生できる

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